新しいブックリーダー「i文庫S」をリリースします

iPhone/iPod touch用の新しいブックリーダー「i文庫S」を
2/26リリースします。
これはi文庫のアップデートではなく、新しいアプリとなります。

2008年12月にリリースしたi文庫は現在まで約2年、
皆様のあたたかいご支援によりここまで続けることが出来ました。
i文庫はiPhone3G/iPod touch 1st、
iOS(当時iPhoneOS)2.x用に作成し、
その後約20回のアップデートを行いました。
平均して考えると1〜2ヶ月に1回ぐらいのペースでした。
そして現在、デバイスはiPhone4、OSはiOS4と、
2年前とはもはや比べ物にならないぐらいの進化を遂げました。
まだこの先も進化していくことでしょう。
OSがたった2年の間にここまで進化した例はみたことがありません、驚異的です。
OSXという十分に熟慮されたOSを開発しているappleだからこそ、ここまで出来たのではないかと思います。
しかしOSが進化したのならその上で動くソフトウェアも進化せねばなりません。

ソフトウェアは改修によりある程度までは進化できますが、
基本コンセプトは初期に立てたものが柱となるため自ずとその限界があります。
iPadが発表された時、このデバイスに最も適したものを出すということを目標に
i文庫HDをiPad専用アプリとして開発することにしました。
その判断は間違っていなかったと思います。
ですが同時にiPhone版はどうするのかという問題がありました。
残念ながら全てを並行して開発する力は我々にはありません。
ですので、まずはiPad版をしっかり作り、
その後iPhone版へその技術をフィードバックしようと判断しました。
i文庫HDは初期の目標をある程度達成し、iPhone版への取り組みを行おうとしましたが、ここで躓きました。
i文庫ではi文庫HDのスケールを支えられないと。
つまりi文庫からの改修という範疇ではi文庫HDで培ったものを乗せられない。
当時とでは基本コンセプトを立てるレベルが違い過ぎたのです。
2〜3ヶ月ぐらい試行錯誤しながら悩みました。
しかし、束縛されて納得出来ないものを出すよりは、
その時全力を尽くしよいと思えるものを出すべき、という結論に至りました。
またマーケティング的な問題として別に今のi文庫でも十分だから出さなくてもいいんじゃないのか、
むしろ出すだけ逆効果じゃないか、という意見もありましたが、
やれることを避けて先に進むことは開発者として選択できませんでした。
セールスは開発を継続するモチベーションにはなりますが動機にはなりません。
2008年頃の状況を知っているならマーケティングなんて言葉が出ること自体滑稽なのです。
今回は愚かな判断をしてしまったのかもしれませんが、
作りたいから作るという開発者の性から始めたことなので仕方ありません。

様々な葛藤がありましたが、新たなiPhone用アプリとして
i文庫HDの全てを乗せたものを作ることにしました。
とはいえiPadという広い画面に向けてなんの束縛もなく挑んだのがi文庫HDです。
大は小を兼ねるといいますが、小が大を兼ねることはありません。
如何にすればこの小さな画面にあの大きなものを違和感無く再現することができるか。
思いのほか困難でした。
専用に新たなコントロールを何個も作り試行錯誤しました。
様々なコードを書いては捨て書いては捨て、i文庫HDより時間がかかってしまいましたが、
結果として全ての機能を乗せることが出来ました。
ですがiPadのあの大きな画面から来る迫力だけはデバイス的な制約で十分には再現できませんでした。
踏んだら大きくなる液晶デバイスとか開発されないですかね、本当に。
ですので、ソフトウェア的には同等ではありますが、
エクスペリエンスとしての価値としては同等とはなりませんので、
i文庫Sはi文庫HDよりいくらか低い価格でリリースさせて頂きます。
またi文庫をご愛用頂いております方のために、
移行キャンペーンとして初期1週間を115円で提供させて頂きます。

i文庫につきましても今後もサポートを続けてまいります。
ほぼ毎週行っております青空文庫のデータベースのアップデートも引き続き提供します。
新しい機能などにつきましてはi文庫HD/i文庫Sを優先していきます。

様々な回り道をしてしまいましたが、これでまた前を向いて進めそうです。
今後ともよろしくお願いいたします。

あと、i文庫HDをご存知の方でしたらアレ?と思うことがあるかも知れません。
appstoreで出すということはそうゆうことでして。。
準備は全て出来た筈なんですけど今回はその辺の事が多くて、ちゃんと出せるかな。。
これはまた別エントリで書ければと思います。